此処は妖精界。
天界と魔界の二つを治め灰色の館に住む通称妖精王。
王は5つの魔鏡を使って国を治めていた。
5つの魔鏡は力の源。
だが――
ある日魔鏡は盗まれた。
王は力のある5人を選び呼んだ。
5人は探す
5つの、全ての魔鏡を
■GUIDANCE□
「では、気をつけて行って来るのだぞ♪」
にこやかな笑顔の、ある一人の男のこの言葉で世の運命を決める5人のたびは始まったのだった。
妖精界の一番奥にある、一度入ったら出られないとか巨大な化け物が出て襲われるとか曰くつきの「ダークニーズウッズ(暗黒の森)」の中をひたすら歩く5人の姿があった。
「・・・はぁ〜・・・なんで俺たちこんな処にいるんだ?」
5人の中で一番後ろを歩くレイスの口からそんな言葉が漏れた。
「そんな事。あの妖精王に聞いてくださらない?私(わたくし)達にそんな事聞かれても答えられるはずが無いですわ。そんな事を聞いても答えが帰ってこないとわかっているのはあなた自身でしょう?」
棘のある言葉でレイスへの言葉を返すのはシェーラ。
「しょうがないよ。王様の命令には逆らえないしね。ね、リズ?」
笑顔で「リズ」と呼ばれた女の子の名前をダークは呼んだ。
「幾ら私達に血縁関係があったとしても私の名前を気安く呼ばないで頂戴。悪魔に自分の名前を呼ばれるのは恥よ」
「・・・(本当はわかってるんだけどね。君が言いたい事は)」
言葉にはせずに笑顔でリズを見つめるダーク。
リズは横目でダークを睨んでいる。
「・・・これからの仕事がどれほど重要かわかっているんですか?身勝手な行動はよしてくださいよ?」
一人先頭を歩き4人のことを軽く窘めたのはライル。魔界で一番の実力者だ。
この5人が森を歩いているのにはちゃんとした理由が存在する。
話を戻すとこの日の朝、妖精界の中心に位置する「灰色の館」での事。
館では国全体に伝えられない重大な事が起きていた。
「王。魔鏡が盗まれて二日たちます。これ以上このままでは・・・」
「わかっておる。今すぐここに書かれてある5人を呼ぶのじゃ」
そこに書かれていたリストには。
リズ・ルーラット
ライル・リフォンド
ダーク・ルーラット
シェーラ・ニェラル
レイス・ファミリオン
と、5人の名前が書かれてあった。
そして館に呼び出されて王室と呼ばれる其の部屋で2人の天使と3人の悪魔が居た。
「ったく・・・何で天使と同じ場所に居なくちゃいけないんだよ」
レイスはそう言った。
するとすかさずシェーラがレイスに言う。
「そのままそっくりお返ししますわ。下等な悪魔さん?」
「なっ・・・!なんだとこのアホ天使!」
「何ですって!黙って聞いてれば調子に乗って!最低なヤツですわね!!」
シェーラとライルはお互い一歩も引かずに喧嘩をしている。
「レイスを連れてきたらシェーラとケンカする事くらい王は知っていた筈。なのに二人を連れてきたと言う事はよほどの事があったんでしょう」
「ええ、そうみたいね。彼はまだ経験不足でしょう?」
「二人共ケンカを止めようとは思わないんんだね・・・(そう言って自分も止めようとはしない)」
二人の様子を見ながら話をしているのはリズとライル。そしてダーク。
この三人、交友関係こそ良いものの、本心内ではかなり嫌いあってい仲だったりするる。(ダークは普通だが)
「リズこそシェーラをしっかり育てたら如何ですか?レイスだけでなく、シェーラの方にも問題があるのではないですか?」
「残念。シェーラは私が育てるんじゃなくて先生の職ついた人が教えるのよ。それに私の名前を気安く呼ばないで頂戴。特に貴方には名前を呼ばれたくない」
「そうでしたね。俺も天使の名前を呼ぶなんて馬鹿なことをしてしまいましたよ」
「ほら皆。王が来たよ」
皆が言いあってるときにダークが丁度良い頃合でとめて4人を王のほうに向かせる。
王が椅子に座って一言話す。
それは5人にとっては予想もつかない言葉だった。
「今日お主達を呼んだのは魔鏡を取り戻してほしいからじゃ」
「「「「「は?」」」」」
「ちょっと待ってください妖精王。どういう事ですか?」
リズが一番先に王に問いかける。
「うむ・・・実はのぅ、5つの魔鏡が2日ほど前に盗まれたのじゃ。勿論館には警備をつかせていたがそれも全員倒されていてのぅ・・・魔鏡は盗まれたのじゃ」
案外警備ももろいのね・・・。今度何か盗もうかしら?
リズは一人で勝手な事を思いながら王の話を聴く。その間シェーラが王に問う。
「私達が魔鏡を取り戻してくれば良いのですね?それなら話は簡単ですわ」
「そうか。それはありがたい」
「しかし・・・天界のオキテに悪魔と一緒に仕事をすることは禁じられています」
「そんなものは直ぐに変えられる。それにの、今回の任務は極秘でいってもらうために公にはしないので大丈夫じゃ」
職権乱用してるのか・・・。王って良い位なのね。まぁ今はそんな事考えてる暇は無いわ。(リズ談)
とりあえず王に頼まれて承諾した。
これが理由である。
そして今森を歩き。誰にも見つからない様に外に出る。まずこれが5人のすることだった。
「っていうか仕事は良いけどよ。天使と一緒か?嫌に決まってる!」
「まぁだそれを言いますの!?なら貴方ははずれてよろしくてよ!」
「は!?じゃあテメーこそおりろよ!」
「嫌ですわ!少なくても貴方よりは私のほうが優秀ですもの!」
「んだとっ・・・!」
「きゃっ・・・」
レイスがシェーラに手をあげようとした。シェーラはとっさにしゃがみこんだ。
だが幾ら待っても叩かれない。おそるおそる手を離すと一番先頭にいたライルがレイスの手を止めていた。
「レイス。みっともないですよ」
ライルはレイスを冷たい目で見る。レイスは睨み続けている。
「オレまでそういう奴だと思われるのは御免ですからね。勝手な行動は慎んでください。この身の程知らずが」
「なんだとっ・・・!」
「そういうのが身の程を知らないというんですよ。俺に勝てるとでも思ってるんですか?」
「ライル、これから一緒に旅に出るんだから。多めに見てあげようよ」
ダークがライルを止める。
ライルはレイスの手を離して再び先頭に着く。
「シェーラ。レイス相手にしてたら疲れるから私のとなりに来れば良いわ。ケンカなんかしないですむわよ」
「そうしますわ。悪魔とケンカなんて随分馬鹿げた事をしてしまいましたわ」
リズの隣に来るシェーラは嬉しそうな顔をして歩く。
リズはにこっとシェーラに笑ってライルの後ろに続いた。
5人の旅は長く。そして辛く。
5人が団結していかなければならない事だと誰が思っていただろう―――・・・。
誰も予測しなかった出来事がおこる。
そんな事は5人とも、解かっていたはずなのに。
当たり前の様に思っていたことが当たり前で無いと知ったとき。
彼等は何を思うのか。
それすらもわからない。
こうして5人は魔鏡を取り戻す為に妖精界をあとにした。
***後書き***
やってしまいました。オリジナル小説。
これからの小説は蒼空時雨さんと一緒にダブルで一つの小説を書いていく事に決定しました。
これから頑張っていくのでよろしくお願いします・・・。
2005.12.17.リン