8月21日   主導権を握る
 
「あつーーーい……」
「うっせぇ。何度言えばわかりやがる。」

私は暑いのが大嫌いなの!と言い返したらお返事はデコピン。
あんたは平気でしょうよ。私から奪い取った扇子片手に優雅にしてるんだから。

「何でこんなに暑いのぉ…」
「知るか」
「この学校の帝王気取ってる北条君にもわからないんですか?」
「ほー。じゃあこの学校で十年に一度の天才とか呼ばれてるてめぇはどーなんだよ。」
「それとこれは別問題。」
「それなら俺だって知るか。」

ぺちんっ。またデコピン。
跡がついてたらどうしてくれようかしら。

「テメェは大体髪がウザったいんだよ」

そう言って私の髪を一束掴んでキスを落とす。
確かに腰までありそうな髪は見た目重たい。実際夏はちょっと暑い。

「切ろうかなぁ……」

別にこだわりなんか無いけど伸ばしてた。
ちょっと惜しい気もするけど丁度いいかもしれない。

「ヤメロ」
「は?」
「切るなっつってんだよ。」

そう言ってサラサラと私の髪を梳いていく。
意地の悪い顔とは正反対な優しい手つき。

ふぅん。そゆこと。

「時人ってば私にベタ惚れなんだ?」
「自惚れてんじゃねえよ。俺は女に困った事はねぇよ」
「ふぅん?じゃあ私が困らせてあげる。」
「ほぉ……させてみな」

とは言っても。
この人に振り回されているのはいつも私。主導権はいつだって時人が握る。
それに時人に通じるような意地悪なんてあんまり思いつかない。

「今は無理だけど絶対その言葉後悔させてあげるから。」

うわ。まるで負け犬の遠吠え?言ってみてちょっと恥ずかしいような台詞。
それを聞いて時人もニヤっと相変わらず意地悪な笑い方をした。
 
「後悔ねぇ……?」
「な…なによ?」
 
でも『ごめん。今の言葉訂正』よりちょっとはマシでしょ?
時人はにやついたまま近づいてくる。
鋭くて冷たい瞳が私を掴んで放さない。

「可愛くない奴だな。お前。」
「時人に言われたくない」

まぁ可愛い時人なんて死んでも見たくない。
ちょっと想像して噴出しそうになった。それを時人は見逃してくれる優しいコじゃない。
時人はむすっとした機嫌の悪い表情で私を相変わらず睨み続ける。
 
「……怒ってる?」

返事が無い。ってことは肯定。
小学生みたい。言ったらホントに怒っちゃうけど。
頭ン中がガキのまんまで自己中心的な男。
恋しくて愛しくて堪らないのは馬鹿な私の方なんだけどね。

「ちょっと時人?…んっ…」

唐突で突然で強引で痺れるみたいに甘くて狡いキス。
私は他の人としたこと無いから分からないけど……上手いんだろうな。
背中に手を回されてかき抱かれて。何にも考えられなくなって。

「雫…」
甘く低く囁く声が耳の奥に何度も何度も響いてきて
それだけで気がおかしくなりそうな私に気がつかない馬鹿。
 
この小学生みたいな相手の恋に溺れているのは私。
捕まったのは私。それでいいと思っているのは私。

好きで好きで堪らない。

首筋に口付けて耳を甘噛みしていやらしく囁く。
「テメェは一生俺のもんなんだよ」
主導権なんて。イラナイ。
子供みたいな貴方が好きだから。



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