8月12日   譲れる物と譲れない物

「かーいーちょっ」
「ああ?」

うわ。時人ったら不機嫌そう。眉間によったシワ。
若いんだからさぁ〜もっと人生楽しく生きようよ。

「今回のプロジェクトなんだけどさぁ〜」
「ああ……今年の学園祭か…。で、なんだ?」
「あのさ、とっきーはさ、もうちょい休んでいいと思うよ?」
「あ?」

うわ。僕ってば超正直者だから素直にいったって言うのにさ。
何そのリアクション。
まあ本当は時人がいい奴だって僕は知ってるけどね。

「テメェは何ふざけたこといってんだよ…」

呆れ顔でため息一つ。それ、クセだよね。
脚組んで、椅子の背もたれに腕かけて、目を細めるのってさ。
でもそれ普通に見たら相当態度悪いよ……って自覚してるか。

「だーかーらぁー。とっきーってば仕事一杯やりすぎでしょ。
 今年からコンクール実行委員の仕事も回ってきたし、立て続けに企画とかあるし。
 宣伝実行委員が無茶言い出して、その骨組み立て、忙しかったんでしょ?」
「だからなんだってんだ」

うわ。益々イラついてる。
目の据わり具合がさらに上がってきてるし。
組んだ上の脚を動かすのってさ、一種の貧乏ゆすり?

「それに、現時点の計画じゃシナリオ立てに司会進行にって色々やんなきゃいけないことあるわけでしょ。
 とっきーってば真面目ちゃんだから全部頑張ってやろうとしちゃうじゃん」
「……俺が真面目だ?てめぇどこに目ェつけてやがる」
「顔にちゃんとついてマスよぉ〜」

あーあ。意地張っちゃってさ。
いい加減な事やってるように見えて、本当は頑張り屋さんなんだよねー時人は。
僕のおふざけだって何だかんだで付き合っちゃうお人よしだしさ。

「で。そんな超忙しいとっきーが疲労でぶっ倒れないように!って事で
 僕の労いもかねて、今回のプロジェクトくらい休んでもいんじゃない?」
「あ?何かテメェは。学園祭をショボくするつもりか?」
「った…酷ぉーい。なにもデコピンすることないでしょ!」
「うっせぇよ」

うわ〜。本気で怒ってるぅー。
意外と時人はマジで怒る事って滅多に無いになぁ。
やっぱ学園祭気合入ってるから手抜きしよう!みたいな僕の発言に怒っちゃったのかな。
本当、生真面目すぎて困っちゃうな。

「別に全体の仕事を少なくするとはいってないでしょー?
 ただ、とっきーの仕事だけ異常に多いじゃん。他のプロジェクトにまわせるものは極力まわして、
 司会とかはとっきーだけじゃなくて僕等他の生徒会メンバーも協力すればいいんじゃないの?
 とか思ったんだけどさぁ〜」
「………無意味な心配してんじゃねーよバーカ」
「うわぁ〜ん。馬鹿っていう!?酷い酷い〜!」

無意味な心配、ねぇ。
そんなこというなら心配したくなっちゃうような行動とんないで欲しいなぁー。

「奏、二度とんな阿呆なこと言うんじゃねぇぞ」
「副会長としても、友達としても、それは譲れないかな?」
「俺は俺のやり方でやる。テメェが戯言ほざきようが関係ねぇぞ」
「………頭でっかち〜」
「うっせぇ」

ふいっとそっぽを向いちゃった。
まあ貧乏ゆすり止ったんだからもう怒って無いんだろうけどね。
ていうか貧乏ゆすりって響きの時点で似合って無いんだよなぁー。
まあ時人はちょっとくらいマヌケな方が時人らしいけどね。

「わかったよぉ。でもでも、今度熱出したら絶対譲らないから」
「………」
「気付いて無いとでも思った?一応僕親友のつもりなんだけど」

最近仕事立て続けにあって徹夜連チャンでやってたんでしょ。
身体壊してまで頑張るなんてさ、まるで僕が頼られて無いみたいで結構悲しいんだよ。

「ちっ、女々しい奴」
「観察力が凄いって言って欲しいなぁ〜。
 まぁ、伊達に副会長の肩書き名乗ってないしね。誰にも譲れないでしょ、これは」

うわ。本日最大のため息つきましたよこの人。
ちょっとしたジョークなのに、ユーモアが乏しいなぁ〜。

「……俺が奏以外の奴にやらせっかよ……」

え??マジで?

「ね!もっかい言って!」
「女みてぇな事言ってんじゃねぇよ」
「ねぇ〜?と・き・と・さ・まぁ〜」
「……キモい。つーかキショい」
「うわ〜うわ〜酷ぉ〜い!」
「けっ……」
 
そんなある日の生徒会室。




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