7月21日   空に咲く花
 
「凍也兄?」
「ん?何、智哉」

「何って…別になんでもないけど、ぼーっとしてるからさ」
「気のせいじゃない?」

気のせい?
そんな訳が無い。
だって、現に凍也兄は心ここにあらずといった感じだ。
ずっとずっと、どこか遠くへ気持ちだけ置いてきてしまったんじゃないか。
覇気もないし、毒もない。
普通の凍也兄にぼーっとしてるだなんて言った日には
嫌味の一言でも追加されてお前の目は節穴かとでも言われんばかりに皮肉られるはずだ。

その目がこちらを見ることなく
凍也兄はずっと空の遥か彼方を見上げていた。
でも俺と同じ空を見ているわけではない。
凍也兄の目の先にあるものはなんなんだろう。
たまに思う。
凍也兄は自分が手にすることができないものを欲しがっているんだと。
小さな頃からそうだった。
子供はおろか大人だろうと、手に入らないようなもの。
そんなものをずっと欲しがっていた。
それも、親から買い与えられるのを好まず
自分の力でいつか手に入れようと努力してきた。
絶対に手が届かないとわかっていても。

「凍也兄」
「何?」
「たまには、下を向かないと疲れるよ」

空ばかり見ていては首が痛くなる。
それに地上を忘れてしまいそうなほどにずっと凍也兄は空ばかり見ている。

「うん。そうだね…」

空返事。
たぶん痛くなるとわかっているんだろう。
わかっていても、空を見上げ続けるんだろう。
破滅しようが、空を見上げる男
どうしようもない馬鹿だと思うけど
彼らしくないと思うけど
止めようとも思わなかった。

 

 

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