７月１５日　　　認めたくない現実

勝てないと悟ったから
この人だけには叶わないと知ったから

絶対あきらめたくない

自分は諦めのいい人間だと自覚していた
どうでもよかった
勝ち負けにこだわりはなかったし別段惨めに感じた記憶もない

なのに

絶対負けたくないと心からはじめて思った

ずっとずっと後姿ばかり見ていた
いや、初めの頃は足元すら見えなかった

ただただ眩しくて遠くて
………正直ムカついた

自分が一番だと信じてきた
なんだかんだいって自分は特別な人間だって

それを粉々にアンタは叩き壊していった
そこにあるって気がつきもせずに悪びれなく

憎い忌々しい

………羨ましい

望んだ全てを持っていたから
自分が持っていると思っていたものは自分の手の中には本当はなくて
全部アンタが持ってたから

追いかけて追いかけて少しづつ近づいていって
いつか絶対追い越してやるって心に誓った

近づいて一つ知った
その鳥がどれだけ高く飛んでいるのかを
自分の限界がその鳥からしたらどれだけ低いのかを

叶わない
追い越すなんて不可能だ
自分は絶対負けてしまう

勝敗はわかってた
でも諦め切れなかった絶対に

負けない。負けたくない。ただその一心

初めて対抗意識を持った

いつかアンタより高く飛んでやる

そしてアンタを上から見下ろしてやる