11月24日   星降る夜

 

「流星群だぁ?」


態度の悪そうなところは相変わらず。
机に足を上げて、ポケットに手をつっこんで、眉間に皺をよせて。

これが彼女に対する態度なのか常に疑問に思わせられる。


「そう、数百年周期にやってくる……何座だったか忘れたけど。
 なんちゃら座流星群が何百年ぶりだかに地球に接近するの」

「だからなんだよ」

「だからって。随分反応薄いじゃない」

「興味ねぇんだよ。星とか、月とか、俺様には関係ねぇんだよ。どうでもいい」

「うわぁ〜…宇宙の壮大なロマンをどうでもいいって」

「てめぇだって、ロマンとか言うクチじゃねぇだろーが。
 大体何流星群なのかも覚えてねぇのかよ」


痛いところをついてくる。
まったく、人の揚げ足取るのは得意なんだから。


「あのねぇ、普通ここまで言ったらわかるでしょ?」

「なにがだよ」


ああもう。
最後まで私に言わせる気かコイツ。

少しでも期待した私が馬鹿だったわね。


「一緒に天体観測でもいかが?」

「………めんどくせぇ」


言うと思った。

世界は俺を中心に回るんだといいかねないコイツが天体観測なんて。

似合わないっていうか想像もつかないわよね。

 

「何時からなんだよソレ」

「確か、明後日の午前3時くらい?」

「………そんな時間までたかが星のために起きてんのかよ…」


心底嫌そうに眉をひそめる。
あーあ、折角黙ってれば格好いいのに、そうやったら怖いって。

って言っても時人はいつも怖いか。


「あっそ、いいわよ元々一人で見る予定だったんだし」


別に期待なんて、してなかったし。
もともと一人で見る予定だったんだけど一応聞いてみただけだしね。


「だいたい、どこで見るんだよ。お前のマンション、窓西にしかねぇだろうが」

「え?近所の公園だけど?」


……東の空に流星群が来るだなんて言ってないんだけどな……


「寒ぃだろうが」

「そりゃあ寒いでしょうね」


星が見たいんだから寒いとか眠いとか文句言えないでしょうが。


「まぁお前は馬鹿だから風邪なんてひけねぇんだろうがな」

「馬鹿ぁ?私だって風邪くらいひきますー」

「ほぉ……正真正銘の馬鹿だな。てめぇコンクール近いんじゃねぇのかよ」

 

忘れてた。
この時期に風邪で声が出ないだなんて、笑えないわよね。
確か今回もソロがあるし。

 

正直言って

 

部活なんてどうでもいいんだけど。

 

「ちゃんと防寒対策するから平気よ」


「…………ちっ……馬鹿が」


うわ。
彼女に舌打ちしたわよ、この男。
しかもさっきから馬鹿馬鹿連呼されてるし。


私達本当に、付き合ってるんだか怪しい。


「雫」

「なによ?」

 

ようやく、名前で呼ばれた。
いつもテメェとかお前とか、そんなんばっかりだけど。

たまにだけ時人は名前を呼ぶ。


「イタッ」


くいっと髪を引っ張られる。
痛みから逃れようと時人の方に近づけた体が崩れる。

ぐらりと視界がゆれて、なにがなんだか。


「       」

 

え?

今なんて?


きょとんとした私をちゃんと立たせて時人はそっぽをむいた。


ったっく……どっちが馬鹿よ。

 

「素直じゃないわよね時人って」


反応は、ない。

 

「心配なら心配ってちゃんと言いなさいよ」


「っせぇ」

 

たぶん。流れ星と一緒で。
時人の本当の言葉というのは瞬きする間に消えてしまう。
でもそういうのが沢山あって。

気をつけていないと気がつけない。


「本当、素直じゃないんだから」


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